鉄筋コンクリートを考える ~第5話(前編):ウチは木造なんだけど…あまりに身近なRC~ 長野市 外壁塗装・屋根塗装専門店トラスト
こんにちは、長野市の外壁塗装・屋根塗装専門店のトラスト施工部です。
大好評を頂いております鉄筋コンクリートを考えるシリーズ ~第5話(前編):ウチは木造なんだけど…あまりに身近なRC~ をお届けします。
これまで、RCの意味や2つのRC構造のシステムについての話、クラックと雨仕舞の話、そして第4話コンクリートの中性化問題に至るまで、幅広くRCについてお話をさせていただきました。
今回は”躯体としてのRC構造”から着眼点を離れて、木造や鋼構造、軽量鉄骨造…などあらゆる用途の建築物全般を足元から見つめ直してみたいと思います。
またこれまでにご意見ご感想を頂戴してまいりましたので、Q&A方式でいくつか紹介・ご回答させていただきます。
0.Q &Aコーナ
Q1:「鉄筋コンクリート構造、RCの意味(鉄筋で補強してあるコンクリートの構造)とは知らなかった。…(中略)とても勉強になったが、我が家は築38年の在来軸組工法の木造のためRCラーメンや壁式RCの話はあまり参考にはならなかった…」
A1: RCについての理解を深めていただきありがとうございます。ご指摘を頂きました、建物の構造がRCではないケースについて本編で詳しく説明させていただきます。
Q2:「築50年ぐらいの木造家屋だが、コンクリートのような外壁面にクラックがあるのはどうしたらいいか」
(補足:推定伝統工法寄りの在来軸組木造、湿式工法モルタル外壁のクラック部分)
A2: 木造家屋モルタル壁のクラックと考えられます。RCのクラックと同様に雨仕舞を悪化させてしまいますので、RCで言うところの鉄筋ではありませんが雨水の侵入によって、モルタル下地のメタルラス(金網)または木摺(木材)を侵食して最悪の場合、モルタルが面的に剥がれ落ちる可能性があります。トラストでは外壁塗装工事の他にも、このケースのような部分的な補修から下地交換を含めた本格的な左官工事まで、必要に応じた工事を提案させて頂いております。お気軽にお問い合わせください。
Q3:「築32年の鉄筋コンクリート構造の事務所だけど、バブルのころに流行った打ち放しコンクリートで、いくつか気になるクラックがある。雨仕舞や中性化の話が気になるから一度診てもらいたい。」
A3: RC躯体に生じたクラック部の鉄筋の降伏は心配ありませんが、築年数もさることながら外壁の仕様(打ち放し仕上げ)もあいまあって、雨仕舞の悪化やコンクリートの中性化といった経年変化は確実に進行しています。
この様な建築物への塗装工事は、高圧洗浄・クラック補修の後に、打ちっぱなし仕上げを維持する場合は無色透明な疎水材・クリヤー類の塗装を、あるいは打ちっぱなし仕上げを変更して、新たに色や凹凸模様つきの外壁仕上げとするご提案もさせていただきます。どちらのケースもカラーシュミレーションをご用意できますので、お気軽にお問い合わせください。
Ⅰ.建築物の定義
一般に言う建築物について、建築基準法(以下、法と表記)の定義をひもも解きつつ、整理してみたいと思います。
法第2条第1号 建築物 |
土地に定着する工作物のうち,屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。),これに附属する門若しくは塀,観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所,店舗,興行場,倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋,プラットホームの上家,貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい,建築設備を含むものとする。 |
一般に私たちが口にする”建築物”は必ずしも”法の定義による建築物”とは限らないことを認識いただけたかと思います。
建築物である必要条件として、まず”土地に定着する工作物”である必要があります。
ここで一つ想像してください。
あなたは走行可能なキャンピングカーを土地へ定着させることなく(固定資産税課税対象外?)生活している生粋の放牧民です。戸籍上の住所(土地)はあっても、走行可能なキャンピングカーを所有し居住空間として、日本各地を放牧しながら生活しています。
この想定において、あなたの所有するキャンピングカーは、居住の途にようする事実上の住宅であっても、土地への定着が認められません。従って建築物ではありません。
キャンピングカー×遊牧民の想定はあまりに極端でありリアリティを欠く例えでしたが、逆に土地に定着している付随する門や塀…そして建築設備を含むものとあるように、法の定義によるところの『建築物』に該当する工作物が多い事には驚かされますね。
ではこの時、工作物と大地(土地)はどの様にして定着という関係を築いているのでしょうか。
Ⅱ.土地への定着機構 基礎
工作物を建築物か否か判断するに重要な基準の一つが土地への定着の有無でした。
基礎という言葉は建築の専門用語に限らず広く耳にします。ここでは土地への定着を担う機構を“基礎”といいます。基礎にも直接基礎と杭基礎の二種類がありますが、これについて木造建築に限って基礎(直接基礎)の変遷をたどってみましょう。
いにしえの竪穴式住居は礎石や礎版(基礎)を用いらず土中へ直接柱を埋め込む“掘立て柱”が採用されていました。工作物の柱脚は土中へ埋設され、木材(柱)と大地が密に接触しているため湿気を吸い上げてしまい、柱脚の腐れ・腐食は避けることはできません。そこで腐れ対策や小動物の侵入防止などから、時代が進むにつれて高床式建築が一般化するようになります。高床式では柱と大地との間には、石で作られた礎石や木製の礎版が築かれて縁切りがされるようになりました。この縁切りシステムが基礎の原型と言えます。更に中世の寝殿造りや武家屋敷建築、社寺・城郭…や歴史的な震災を経て、現代の木造建築に欠くことのできない“土台”が用いられるようになります。土台は建築物が水平力に対してより強固な構えとなるように平面的に連続する柱の柱脚(端部)同士を接続する部材です。現在の木造建築の基礎(直接基礎)はこの土台があることを前提として主に次の代表的な3つに大別することができます。
1つ目は布基礎と呼ばれる長さ方向に連続した基礎です。丁字をひっくり返した断面形状で木造の建築物には最もポピュラーな基礎の形態でしたが、今日では3つ目のべた基礎に取って代わられつつあります。
2つ目は独立基礎です。場合によっては束石や礎石と呼ばれる事もあります。1本の柱に対して1つの独立基礎が築かれます。システムとしては布基礎と同じもので、長さ方向に極めて短く連続しないものと考えることができます。
3つ目はべた基礎です。別名浮き基礎とも呼ばれる事があります。布基礎や独立基礎が土台か柱の下部分だけからの大地の反力を期待して部分的に築かれるのに対して、べた基礎は建築物が建築されている全ての地面から反力を得るシステムとなっています。大地からの反力を得る面積が広いため液状化などによる不等沈下(建築物の歪みの原因)のリスクは布基礎に比べて小さくなります。その反面コンクリートの使用量が多くなって高価になりがちです。(布基礎はコンクリートの使用量を抑えることはできても、入組んだ型枠や配筋の手間といった施工にかかるコストを抑える事は容易でない)
そして、土地に定着する工作物である建築物に不可欠な基礎はというと…
ほとんどが 鉄筋コンクリート(RC)造 です。
(上に示した3つタイプの木造建築の基礎に限っては100%RCと言っても過言ではありません)
Ⅱ´.ここまでのまとめ
建築物は土地に定着する工作物である必要があります。基礎は土地への定着機構であって工作物か建築物かの判定基準です。そして木造建築の代表的な3種類の基礎を例にあげて、いずれの基礎もRC構造である事がわかったところで、第5話(前編)はいったんここまでとします。
この続きは第5話(後編)へ、乞うご期待!
鉄筋コンクリートを考える ~第5話(前編):ウチは木造なんだけど…あまりに身近なRC~ をお届けしました。
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